機械宇宙工学特別講義 講義紹介

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北海道大学工学部/大学院工学院で実施する「機械宇宙工学特別講義」の講義概要を紹介するページです。現在掲載している内容は R6年度実施分(2024年7月実施)の内容です。
本ページは講義内容の紹介のみとなりますので、受講の手続きや質問については北海道大学の担当者までお問い合わせ下さい。

テーマは「システム工学」

この講義には「システム工学への招待」というサブタイトルをつけています。システム工学は「複雑さを扱うための知恵」を整理・体系化したものであり、宇宙開発や航空機などの複雑なものを扱う分野の中で発展してきました。
現代社会は様々なシステムに支えられており、社会そのものも一種の複雑システムであると言えます。そのような社会の中でこれから活躍するだろう工学系の学生の皆さんにとって、システム工学は必ず役に立つはずです。

この講義は、そのようなシステム工学に入門するための基本とエッセンスを学ぶことを目的としています。宇宙・航空・海洋などの複雑なシステムを扱う工学を志す方、複雑な現代社会において価値を創造する方法を学びたい方、システム工学・システム思考・システムズエンジニアリングなどのキーワードに興味があるけど、どこから学んだらよいか分からないという方などに受講して頂けるとうれしいです。

講義の目的

  • 複雑な現代社会で絶対に役に立つシステム工学について知る
  • 多岐にわたるシステム工学の考え方のうち、上流設計およびシステムモデリングに焦点を絞り、その基本的な考え方を身に着ける

講義の構成

この講義は、次の3つのパートから構成されます。ゲームで楽しく学んだり、オンライン型のモデリングツールで演習をしたりするなど、他の講義とは一味違ったユニークな構成となっています。

ゲームで学ぶシステム開発

システム開発を体験することのできるゲーム教材「ペジテの自転車」をプレイすることで、システム工学を学ぶ意義を理解・実感するパートです。ゲームを楽しみながら学びましょう。ペジテの自転車についてはこちらをご覧下さい。

「Balus」を使った演習

対話型オンラインモデリングツール「Balus」を使って、システム表現やシステム設計の基本的な考え方やプロセスを学び、実践します。リモート講義でも効果的な演習を行うことができ、学びを深めることができます。Balusについてはこちらをご覧下さい。講義終了後もBalusを活用して頂くことができます。

ショートレクチャー

「ゲームで学ぶシステム開発」や「Balusを使った演習」の前後では、スライド形式のレクチャーも行います。システム工学を実践するゲストスピーカーによるレクチャーもありますので、お楽しみに。

スケジュール

R6年度実施分のスケジュールです。演習の進捗によっては予定が多少変更することもあります。リアルで実施する回もラップトップPCを使うので、必ず持ってくるようにして下さい。

日程 場所 内容
7/8(月) 3・4・5限 アカデミックラウンジ 3 ・ガイダンス
・ゲームで学ぶシステム開発
・ゲストスピーチ
7/12(金) 3・4限 オンライン(Webex) ・ショートレクチャー
「複雑さと価値を両立するためのシステム工学」
・Balusを使ったモデリング演習
7/19(月) 3限 オンライン(Webex) ・演習のレビュー&アドバイス
7/26(金) 3・4限 A1-17 ・演習のレビュー&アドバイス
・まとめと振り返り

講師紹介

三浦 政司
JAXA宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 准教授
株式会社レヴィ システムデザイン研究所 所長
株式会社ロケットリンクテクノロジー 取締役東京大学工学部を卒業後、学籍を総合研究大学院大学に移し、JAXA宇宙科学研究所にてロケット工学の研究に従事。2011年より鳥取大学に教員として赴任し、分散協調制御やシステム工学の研究に従事する傍ら、ロボット開発などをテーマとしたPBL型工学教育に取り組む。2021年よりJAXA宇宙科学研究所の准教授に着任。宇宙機システムの研究開発に従事する。2016年に株式会社レヴィ、2023年に株式会社ロケットリンクテクノロジーを共同創業し、起業/企業活動にも取り組む。

 

萩原 利士成 (ゲストスピーカ)
株式会社レヴィ 取締役

JAXA宇宙科学研究所で宇宙物理学の研究を行い博士号を取得後、サイボウズ株式会社に入社。cybozu.comのインフラ開発に従事しマネージャー、副部長を務める。
2016年8月より株式会社レヴィにて自社のサービス・研修開発や事業戦略、組織設計などビジネスサイドのマネジメントを担当。
株式会社スタディストなど複数社の技術顧問として顧客企業のアーキテクチャ設計、チームビルディング、マネージャー支援も実施中。

受講生の声

過去の受講生の感想やメッセージの一部を紹介します。

授業全体を振り返って、もっと大学生の早い段階でこの授業を受けたいと思った。これまでいくつかのイベントやプロジェクトに参加してきたが、いつもどのように進めていくか自分の中で確立していなかった。様々な要素や人が絡むプロジェクトをシステムとして考え、どうゴールまでもっていくのかの考え方は、これからの人生で役立つと思う。最適な進め方は内容や状況によって異なると思うので、システム工学で過去の事例を学び行動しながら、その時最適な行動をとれるように型を身に着けていきたい。
自分はシステム工学に触れるのが初めてで学ぶことがとても多かったです。特に上流設計の大切さが印象に残りました。何事もそうですが、十分な準備がないまま取り掛かってしまうと後々大変で、これまでの自分にはそのようなことが多々ありました。また上流設計においても、視点のお話や対話型モデリングの話も印象的でした。視点を分ける・つなげるという考え方やBalusを使った視覚的に相互関係を捉える方法はとても分かり分かりやすく今後考えを整理する際に応用したいと思いました。
システム工学はエンジニア視点の工学的なものだと考えていましたが,実際には何か広義なモノゴトを進めるための考え方の知恵でした.講義を終えて,システム工学の考え方は幅広く活用することができるため,もっと早く学んでいればと感じました.

協力企業

この講義で使うゲーム教材「ペジテの自転車」やシステムモデリングツール「Balus」は株式会社レヴィが提供するサービスの一部です。
株式会社レヴィは f3工学教育研究センターが主催する「次世代工学リーダー人材育成コンソーシアム」の会員企業でもあり、同センターが推進するシステム工学人材の育成に協力しています。